農家の友人を手伝いに行ったときの話です。

朝8時集合で、私のほかにも数名のお手伝いさんが来ていました。

農家の家族は、今日やることがなんとなく分かっている様子でした。

道具の場所も分かっている。

畑の状態も分かっている。

誰が何をするかも、家族の中ではだいたい見えている。

でも、外から手伝いに来たこちら側には、何も分かりません。

何をすればいいのか。

どこにいればいいのか。

手を出していいのか。

待っていた方がいいのか。

分からないまま、時間だけが過ぎていきました。

結局、実際に作業が始まったのは9時ごろでした。

それなら、最初から9時集合でよかったなと思いました。

待っているだけの1時間も、相手の時間

時給が発生している人なら、その時間も給料になります。

でも、給料が出るかどうかに関係なく、何もできずに待っている時間は気持ちのいいものではありません。

手伝いに来ている側は、役に立つつもりで来ています。

それなのに、次のような時間が続きます。

「何かした方がいいのかな」

「でも勝手に動いたら邪魔かな」

「聞いた方がいいのかな」

「今忙しそうだから、声をかけにくいな」

これが意外としんどいです。

たとえば5人が1時間待っていたら、合計で5時間分です。

1人で見ると少し待たせただけに見えても、人数が増えるとけっこう大きい時間になります。

会社でも同じことがある

これは農作業だけの話ではないと思います。

会社でも似たようなことがあります。

  • 新しく入った人
  • 応援で来た人
  • 別部署から手伝いに来た人
  • 外注先や協力会社の人
  • 短期のアルバイトやパートの人

ベテラン側は、今日の流れをなんとなく分かっています。

でも、慣れていない人は分かりません。

道具の場所も分からない。

最初に何をすればいいかも分からない。

終わったあと誰に言えばいいかも分からない。

勝手に進めていい範囲も分からない。

これは、工具を渡されていないのに「作業しておいて」と言われているようなものです。

本人にやる気があっても、動けません。

見ていれば分かる、は慣れている側の理屈

慣れている人ほど、最初の分からなさを忘れてしまいます。

「見ていれば分かる」

「そのうち慣れる」

「分からなければ聞けばいい」

こう言いたくなる気持ちも分かります。

でも、初めての人からすると、聞くこと自体にも気を使います。

忙しそうな人に声をかけにくい。

何度も聞くと悪い気がする。

勝手に動いて失敗したら困る。

邪魔になっていないか気になる。

何をすればいいか分からずに立っている時間は、かなり気まずいです。

仕事そのものより、そっちの方が疲れることもあります。

最初の5分でかなり変わる

大きなマニュアルを作る必要はないと思います。

最初の5分だけでいいので、受け入れ側が説明する時間を取る。

たとえば、これだけでも違います。

  • 今日やること
  • 最初にやってほしいこと
  • 道具の場所
  • 待っていてほしい場所
  • 分からないときに聞く人
  • 終わったら次に何をするか
  • 触っていいもの、触らない方がいいもの

これが分かるだけで、来た人は動きやすくなります。

たとえば、次のくらいで十分なことも多いです。

「8時に来たら、まずこの箱を軽トラの横に運んでください」

「終わったら〇〇さんに声をかけてください」

「分からなければ私ではなく、△△さんに聞いてください」

完璧な説明はいりません。

最初の一手が分かるだけで、待っている時間はかなり減ります。

人を呼ぶなら、最初の一手まで決めておく

人手が足りないから人を呼ぶ。

これはよくあることです。

でも、人を呼んだあとに、その人が動ける状態になっていなければ、結局もったいないです。

呼ばれた側の時間も減ります。

受け入れる側も、あとから説明や確認に追われます。

現場もなんとなくバタつきます。

つまり、やることが分からない時間は、本人だけでなく会社側にとってもコストです。

特に中小企業や小さな現場ほど、一人ひとりの時間は大きいです。

5人を1時間待たせたら5時間。

時給1,200円で考えれば、単純計算で6,000円分の時間です。

お金を払っているかどうかに関係なく、それだけの時間が消えています。

経営側が見ておきたいこと

こういう話は、細かい段取りの問題に見えるかもしれません。

でも、私は経営側が見ておいた方がいい部分だと思っています。

  • 新しい人が来たとき
  • 応援を呼んだとき
  • 外注先に作業してもらうとき
  • 家族以外の人に手伝ってもらうとき

その人が最初に迷わず動けるかどうか。

ここは、意外と大事です。

人が足りないと言う前に、来てくれた人が動ける状態になっているか。

これを見直すだけでも、ムダな待ち時間や気まずさはかなり減らせます。

人を呼ぶなら、最初の一手まで決めておく。

小さなことですが、受け入れる側の準備としてかなり大事だと思います。