Excelはとても便利です。

小さな会社ほど、見積管理、在庫管理、売上集計、勤怠集計など、いろいろな業務でExcelが活躍していると思います。

ただ、そのExcelがいつの間にか、作った人しか分からない表になっていることがあります。

最初は便利だった。

でも、あとから列を足す。

シートを増やす。

関数を追加する。

別ファイルを参照する。

そうやって使い続けているうちに、だんだん中身が複雑になっていく。

気づけば、次のような状態になっていることがあります。

  • ここは入力していいのか
  • この数字はどこから来ているのか
  • このシートは今も使っているのか
  • この関数、消したらまずいのか

作った人以外には分からなくなる。

Excel自体が悪いわけではありません。

問題は、会社の仕事が、その人の頭の中に入ってしまっていることです。

作った人がいるうちは、問題に見えにくい

作った本人がいるうちは、意外と何とかなります。

分からなければ聞ける。

エラーが出ても直してもらえる。

毎月の更新手順も本人は分かっている。

だから、周りから見ると、まあ回っているから大丈夫に見えます。

でも実際には、かなり危ない状態になっていることがあります。

たとえば、次のようなことです。

  • 担当者が1日休んだだけで集計が止まる
  • 過去データの直し方が分からない
  • 月末処理の手順を誰も説明できない
  • 数字が合わない理由を、作った人しか追えない

こうなると、Excelの問題ではなく、業務の属人化です。

触れないExcelは、改善できない

作った人しか分からないExcelで困るのは、誰も触れなくなることです。

「壊したら困る」

「関数を消したらまずい」

「どこに影響するか分からない」

こうなると、少し直したいだけでも、毎回その人に確認することになります。

本当は、列名を分かりやすくしたい。

入力場所をまとめたい。

使っていないシートを消したい。

最新ファイルを分かるようにしたい。

でも、怖くて触れない。

結果として、古い形のまま何年も使い続けることになります。

これが地味に大きいです。

まず見るべきポイントは5つ

Excelを見直すとき、いきなり作り替える必要はないと思います。

まずは、次の5つを見るだけでも十分です。

1つ目は、入力する場所が分かるか。

どこに数字を入れるのか、誰が見ても分かる状態か。

2つ目は、触ってはいけない場所が分かるか。

関数が入っているセル、集計用の列、参照元などが分かるか。

3つ目は、更新手順が分かるか。

月次更新、データ貼り付け、集計、確認の順番が説明できるか。

4つ目は、使っていないシートが残っていないか。

念のためで残した古いシートが、かえって迷う原因になります。

5つ目は、最新版が分かるか。

「最新」「最新版」「最終」「最終2」みたいなファイル名が増えているなら、かなり危険です。

この5つのうち、2つ以上あやしいなら、属人化が進んでいる可能性があります。

手順書は、立派なものじゃなくていい

Excelの属人化を減らすには、まず簡単なメモで十分です。

たとえば、次のような内容です。

  • どのシートに入力するか
  • どの列は触らないか
  • 毎月どの順番で更新するか
  • エラーが出たらどこを見るか
  • 保存先とファイル名のルール

このくらいでいい。

A4一枚でも、Excelの1シートに「使い方」として残してもいいと思います。

完璧なマニュアルを作ろうとすると続きません。

まずは、担当者が休んだときに、他の人が最低限確認できる状態にする。

ここが現実的です。

作り替える前に、整理するだけでも変わる

Excel改善というと、マクロやシステム化を考えがちです。

もちろん、必要な場面もあります。

ただ、いきなり大きく変えなくても、まずは整理だけで変わることがあります。

たとえば、次のような整理です。

  • 入力欄の色を統一する
  • 関数セルはロックする
  • 使っていないシートを退避する
  • 列名を日本語で分かりやすくする
  • 更新手順を1枚にまとめる
  • ファイル名に日付や用途を入れる

このくらいでも、他の人が触れるExcelに近づきます。

大事なのは、作った人がすごいExcelではなく、他の人も使えるExcelにすることです。

まとめ

Excelは中小企業の現場では本当に便利です。

ただ、便利だからこそ、その場その場で直しながら使えてしまう。

その結果、作った人しか分からないExcelになっていくことがあります。

担当者がいるうちは問題に見えない。

でも、休んだり、異動したり、退職したりすると一気に困る。

まずは、次のあたりを見るだけでも、今のExcelがどれくらい属人化しているか分かります。

  • 入力場所が分かるか
  • 触ってはいけない場所が分かるか
  • 更新手順を説明できるか
  • 使っていないシートが残っていないか
  • 最新版が分かるか

Excelを直すというより、仕事が一人に寄りすぎていないかを見る。

その視点で一度確認してみる価値はあると思います。